



○■階段避難車とは?
階段避難車は、自力歩行で避難することが困難な人を座らせたまま、階段を降りてビルの高層階から避難させることのできる資器材。支援者は1人で操作できる。重さは9kg、最大荷重は150kg。
ビルの踊り場ではデモが行われ、数名の社員が支援者として人を降ろす作業を初体験した。そこで感想を聞いてみると、どの人も「思ったより重くなかった」「女性でも人を降ろせそう」といったポジティブな言葉を口にする。ハンドルを身体に寄せるようにして降りていけば、揺れもせず、安全に降ろすことができるという。
階段を降りている途中で、万が一、階段避難車のハンドルから手を離してしまったときはどうなるのだろう? そんな問いかけに、

要支援者の社員に話を聞くと「みんながパニック状態になっているときに、手伝ってくれる人が近くにいるでしょうか。非常階段に人がごった返しているときに、階段避難車が通ることで、通路を塞ぐようなことはないでしょうか」と不安を口にする。しかし、そのあとで「今日のような訓練の機会が増えれば、社員の間で認知も広がっていくでしょう。まだ、こうした器具が社内にあることすら知らない社員もたくさんいるので、今後は社内に向けた情報発信も大切だと感じました」と前向きに話してくれた。

現在、館内には階段避難車が5台用意されている。これを14階、26階の共用部に設置するほか、7階、17階などにも設置を検討中。みんなが平等に使えるように配慮するだけでなく、トイレなど人が頻繁に出入りする施設の近く、人の目に触れる場所にマニュアルと一緒に置いておくことで、興味関心を高めてもらうアイデアなども出ているようだ。