
○MVNOが遅くなる理由を回避する
MVNOは上位通信事業者(MNO)の回線を借りて、その中にユーザーを収納して利用させるサービスだ。ただし回線を占有できるわけではないので、MNOやほかのMVNO事業者のユーザーが同時に利用していると、MVNO全体で使える帯域が逼迫し、繋がりにくくなったり、1ユーザーあたりが利用出来る帯域が狭まってしまう。これがお昼時など、利用者が集中する時間帯の通信速度が「遅い」理由だ。
今回mineoが開始する「プレミアムコース」は、このような繁忙期であっても一定の速度を保証する帯域を確保し、周囲の通信環境に左右されない様、特定のユーザーが優先的に通信できるようにするサービスだ。渋滞している道路を尻目に、バイパスで上を通り抜けているようなイメージだ。MVNOで現在このようなサービスを行っている例はなく、キャリアの場合も法人などを対象としたサービスではともかく、コンシューマ向けにはこうしたサービスは存在していない。かなり思いきったサービスだと言えるだろう。
プレミアムコースは、まずはトライアルサービスとして、6月1日よりmineoの既存ユーザーから第1回モニターを、7月1日から第2回モニターを募集し、無償提供する。モニターはAプラン(au回線)、Dプラン(

プレミアムコースの料金および、どの程度の帯域を確保するか、技術的にどのようにユーザーを割り振るのか、バランスをどうするかといった細々としたことはこれから決定するとのことで、すべてはモニター向けの試験サービスの動向を見てからということだったが、基本的にはプレミアムコースのユーザーであっても優先枠へは早いもの順、あるいは予約順などが検討されているとのこと。おそらく月額数百円のオプションプランになるのだろうが、筆者は、場合によっては従量制でも面白いのではないかと思った。
安さが身上のMVNOで、有料のプレミアムサービスに対する疑問もありそうだが、「快適さを買う」という発想は、キャリアを含めた他社との差別化という点では十分「アリ」な選択肢だろう。過去に何度も増速を繰り返してきた同社ならではの自信という受け取り方もできる。
○音声ユーザーの増加に合わせて音声定額も新設
プレミアムコースの新設に加え、音声通話付きプランデュアルタイプ」のユーザーに対し、電話代が30%安い「通話定額30」「通話定額60」オプションが6月1日から開始された。価格は通話定額30が840円、通話定額60が1,680円。通常30秒10円の通話料がかかる音声通話を、事前に30分または60分ぶんの通話権利を定額で購入できるというもの。
通話アプリを使った割引サービスではなく、純然たる音声通話ということで、実質的に収入減になるということだが、mineoユーザーの約80%が1カ月で通話30分以内、60分以内であれば90%が該当するということで、十分採算はとれると判断しているとのこと。また通話し放題は1通話が5分以内と区切っているキャリアもあるが、時間を気にして使うのは不便ということで、連続通話の時間は設けないという。
メールやSNSでの連絡が主流になってきても、やはり音声通話は電話の基本だ。mineoでも70%近いユーザーがデュアルタイプを選択しているという。mineoをメインの回線として利用しており、毎月ある程度の音声利用が見込まれるmineoユーザーの場合、とりあえず通話定額30にでも入っておけばある程度の節約ができそうだ。
○「ユーザー本位のMVNO」で差別化を目指す
mineoはauと



今後もこの路線は継続するということで、今年7月には同社初のオープンな(一般ユーザーが参加可能な)オフ会を





また、従来の

***
総務省の指導により3大キャリアの動きが制約され、サービスも横並びになりつつあるなか、今年はMVNOが単なる価格競争から一歩進んで、サービス面での差別化を進めてくることが予想される。技術力での勝負から他のサービスと絡めた割引、ポイント制度など、様々な差別化が進むが、「ユーザー本位」という価値観がどれだけ市場に受け入れられるかが注目される。