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抹茶が「MATCHA」に。スーパーフードの外食産業での可能性

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●抹茶をNYから逆輸入
健康をどうやって維持するか。飲み会が多い日本のビジネスパーソンにとって痛い課題だ。そんな中セレブを中心に栄養価が高いと注目が高まるスーパーフード。アサイーボウルがカフェのメニューとして定番になって久しいが、そのほかのスーパーフードはまだまだ食べ方が定着していない。だがここに来て、外食分野での提供が広がっている。

○抹茶がMATCHAに。ニューヨークから日本に再上陸

5月、東京渋谷区のカフェ「ORGANIC TABLE BY LAPAZ」の前には、平日にも関わらず、多くの人が行列を作っていた。お目当ては、NYで人気の抹茶専門カフェ「MATCHA BAR」で提供されているドリンク。3日間の期間限定で日本に来ていたのだ。

○朝食としての利用がスタンダード

抹茶を使ったドリンクといえば、スターバックスが出している抹茶のフラペチーノなどカフェメニューとしておなじみだが、「MAtCHA BAR」のドリンクは砂糖が使用されておらず、朝のブラックコーヒーのような感覚でNYでは習慣的に利用されているという。さらに斬新なフレーバーになっているのが特徴的だ。たとえば、桃やスイカと抹茶を混ぜたものや、ジャスミンティーとの融合もある。店主のグラハム氏によると「朝にふさわしいようにさわやかなテイストを考えた」という。実際に筆者が飲んだ「アイス抹茶チャイラテ」などは、チャイの持つスパイシーさと抹茶の風味が喧嘩せず、かつ渋い後味も残らずさわやかな飲み応えになっていた。

この「MATCHA BAR」はおととし、マックスとグラハムの兄弟がNYにオープンさせた店で、昨年には2号店をオープンし、考案した抹茶ドリンクがスーパーなど300店舗で発売されるなど今勢いがある。

兄弟がなぜ抹茶に目をつけたのか。学生時代にコーヒーやエナジードリンクを日常的に利用していたが、抹茶の健康効果が高いことに気づき、「朝のブラックコーヒーに変わるスダンダードになるのではないか」と思い店を始めたという。店では兄弟がインターネットで調べ、いろんな産地の抹茶をテイスティングして選ばれた愛知県西尾市産の抹茶だけが使用されている。「巷で流通しているものとは味が全然違う」とのこだわりだ。

今年中にアメリカの西海岸に進出する計画となっている。今回のイベントでは3日間で2000杯売れたそうだが、当然日本進出も視野にいれており、来年にオープンさせるべく動いているという。

●日本のスーパーフード事情
日本古来からあるこの抹茶が実はNYではスーパーフードとして認識され、健康志向の高い人の食生活にはすでに溶け込んでいる存在なのだ。たてて飲むものだった抹茶は、NYから逆輸入され「MATCHA」として定着するだろうか。

○スーパーフード「抹茶」の力

「抹茶は抗効酸化成分やカテキンが入っていてスーパーフードとして優秀」こう話すのは日本スーパーフード協会スーパーフードアカデミー校長の森弘子氏だ。スーパーフード発祥の地であるアメリカではすでに当たり前の存在になっていて、癖の強い食べ物の味の調整にも有効であると同時に、鮮やかな緑色が色素としてもいいので、パウダーを料理に混ぜて利用されることが多いという。日本だと抹茶はたてるものというイメージがあるが、「レシピの提案があれば広がるのではないか」と新しい抹茶の可能性について言及した。

○スーパーフードとは

1980年代頃のアメリカやカナダで、食事療法を研究する医師などの間で広まった、有効成分を突出して多く含む食品に対し、スーパーフードという言葉が使われはじめた。現在のスーパーフードブームは2000年代にハリウッドセレブの間で使われたことなどをきっかけで、日本に上陸して現在につながっているという。森氏によると、2014年が「認知の年」、15年が「『スーパーフード』という言葉が一人歩きし始めた年」で、今年に入って実際に手に取る人が増えたという。

スーパーフードといえば、代名詞と言われる「チアシード」のほか、定着しつつある「アサイー」「ココナッツ」のほかに「スピルリナ」や「マカ」「カムカム」「カカオ」といった名は知られているが、今までスーパーフードとして認識されていなかったものまで入る。

●今日本の外食で起きていること
○実は日本の食卓にもあるスーパーフード

森氏によると、スーパーフードという言葉は非常にあいまいな概念。「栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ」と協会では独自に定めている。「栄養価がこれくらいとか数値的な基準はない。一方で、食歴が長くあるものかどうかを重視している」という。何百年単位、何千年単位でずっと食べ続けられているものは安全の証であり、パワーが多くの人に認められているであろうという考えからだそうだ。そういったものは日本にもあり、日本スーパーフード協会では独自に「ジャパニーズ・スーパーフード」を提唱している。その中には大豆や穀類なども含まれている。

○ホテルや専門店も。広がる外食シーンでの利用

「昨年の後半から外食の相談が増えたという印象がある」と振り返る森氏。アサイー単独では、カフェメニューとしてすでに定着しているが、ここのところ複数のスーパーフードを扱う専門店がオープンし、ホテルのレストランメニューへの導入などが相次いでいる。

渋谷駅の近くでスーパーフードを組み合わせたサンドウィッチ専門店ができたほか、ホテルニューオータニのレストラン「SATSUKI」では、4月にリニューアルした朝食ビュッフェ「新・最強の朝食」でスーパーフードをカスタマイズできるヨーグルトバーを始めた。健康志向の強い方や外国人客を中心に好評だという。

またビュッフェレストラン「三尺三寸箸」「上海柿安」では初夏の期間限定メニューとして(6月20日まで)チアシードやココナッツ油などを使ったサラダやメイン料理を提供している。「スーパーフード」と銘打った期間限定メニューは今年の春ごろから始めて今回が2回目。広報担当者によると「スーパーフードは、価格が高く気軽に試しづらい食品だが、ビュッフェだとお金を気にしなくて済むお得感が売り」だという。30代から50代の女性、家族連れなどの利用が多いが夜の時間帯はアルコールの提供もあることから仕事終わりで利用する客も多いという。

○ハードルは値段。利用拡大すれば健康維持に寄与

スーパーフードというと、何かと値段が張り、どのように調理したらいいか分からないのが難点で、スーパーで購入して日常的に利用するまでのハードルは高い。だが、外で食事をとる際に、選択肢の一つとして試せるチャンスがあれば、より身近な存在になるだろう。これから専門店はさらに増加する一方で、チェーン店などでのメニューも出てくることが予想でき、健康維持がより手軽にできるようになっていくことが期待される。

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