
イグニッションデザインラボ(IDL)は6月30日、IEEE802.11ac Wave-2対応Wi-Fiルータ「Portal」の予約販売を、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で開始した。初日で目標金額となる100万円を達成し、7月1日現在では達成率200%を超える220万円以上まで数字を伸ばしている。
13,800円(通常価格の2,000円オフ)となる限定100台の「超早割り」は完売。1日時点では日本限定色のRioブルーや通常価格がの1,000円オフとなる「早割り」などが、14,800円から用意されている。製品の発送は11月頃の予定だ。
Portalは米ラスベガスの家電展示会「CES 2016」でデビューした製品。アンテナ数は9個で、5GHz帯(4×4)、2.4GHz帯(3×3)、Bluetooth Smart(4.2)に対応。「独自技術により、従来のWi-Fiルータ(民生機)よりも5倍の帯域へアクセスできWi-Fi使用時のイライラを解消する」という。同日、報道関係者向けの製品発表会をオフィス街の


●「空いている帯域」には課題があった
IDLは、米サンフランシスコに本社を置く2015年5月設立のスタートアップ企業。Qualcomm、Broadcomなどのベンダから30名強の技術者が集結して生まれたという。
2015年7月設立の日本法人、イグニッションデザインラボ合同会社の代表を務めるのは、もともと東芝やQualcommで8世代に及ぶWANチップ開発に携わってきた高木映児氏だ。
高木氏はPortal

高木氏は「Wi-Fiの普及によって、システム内の干渉が非常におおきくなっていること」、「5GHz帯域は気象レーダーなどが優先のため有効活用されていない」ことが通信環境の快適さを阻害している原因だと指摘。
ちょっと説明がややこしくなるが、電波法では、5GHz帯のW53(5.250-5.350GHz)、W56(5.470-5.725GHz)の使用前に、使用するチャネルを1分間モニタリングし、その場所にレーダーがいないか確かめなければいけない。また、チャネル使用中もレーダーを検知した場合、即座にそのチャネルから移動するDFS(Dynamic Frequency Selection)機能が必要だと規定されている。
しかし、仮にレーダーを検知して他チャネルへ移動する場合、移動先がW53/W56だったなら、再び利用可能となるまでユーザーは最低でも1分は待たされるわけだ(使用前に1分間レーダーがいるかどうかの検知が必要となるため)。このため一般的な無線ルータではデフォルトでDFS帯の利用をオフにするか、手動でDFS帯の利用を設定しても、レーダー検知後の移動先を、事前検知の必要がないDFS帯以外の帯域へ飛ばすようになっているという。
●より高精度なチャネル選択が可能に
そこでPortalは、独自のスペクトラムターボチャージャー技術(米国に特許出願中)を採用した受信専用チップ(Portalチップ)を実装するソリューションを開発。広帯域レーダー検知システムに加え、常に無線LANの全チャネルで通信量をモニタしながら、トラフィックも解析し、最適なチャネルを自動選択する。モニタに必要なデータ保存と解析はクラウドを活用するという。
これにより、仮にレーダーを検知しても1分を待たずすぐに新しいチャネルが使用可能になる。しかもその帯域は、一般的なルータではオフとなっているDFS帯なので、高速な通信が可能というわけだ。高木氏は、「現時点で、他社製品はレーダーを検出すると、混雑したDFS帯以外のチャネルへ戻ってしまう」とライバル機の弱点に触れ、「Portalでは、レーダーと共有しているDFS帯の全チャネルへアクセスできる」と特徴をアピールした。