








○カウンターのみのこぢんまりとした一軒
午前10時。駅に降り立ち、改札を出ると、ふわっと鼻をくすぐる天ぷらの香り。すぐそこに店があるのがわかる。



「なかむら」は北口側出て徒歩10秒ほどのところに建っている。「立喰 そばうどん」の白いのれん、緑色の庇で、引き戸は開けたままになっている。立ち食いオンリーのカウンターが横に1列のみ。こぢんまりとした店内には先客が1名いたが、すぐ食べ終えて出ていった。白髪の職人風ご主人と、年の離れた女性の二人が厨房内に。店内は綺麗にさっぱりと片付けられており、明るい雰囲気。正面にはテレビがあり、NHK総合がついていた。
メニューは頭上の短冊から口頭注文。天ぷら、天玉、月見、参歳、わかめ、きつね、たぬき、カレーなど。一部は冷しあり。カレーライスは単品でも400円で提供している。メニューは多くないが、どれもワンコイン以下で大変ありがたい。胃腸のコンディションが良い日は2杯食べてしまいそうだ。オーダーは大好きな「わかめそば」(300円)に「半カレーライス」(250円)をつけた。
○アットホームな雰囲気と家庭風の味に心落ち着く
1分ほどで着丼。卓上には七味と一味があったので、一味をパラッと振りかける。わかめもさながら、多めに盛られたネギとかまぼこが嬉しい。そばは袋入りの茹で麺を湯通ししているので、本格からは遠いが、立ち食いとしてはこれで良し。やわらかく、ダシとの相性も良い。ツユは少し甘めだったので、一味で味を引き締めたのは効果的だった。カレーはピリッとスパイシーな家庭の味。具はほとんどないが、福神漬も添えられていて、ちょうどいいサイズだ。美味い。
初訪問だが、あいさつの声や店内の雰囲気、家庭風の味など、温かみを感じる店だった。自分のように、このために往復2時間かける価値があるかと言われればさすがに返答に困るが、

○著者:高山洋介
1981年生まれ。




