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●監督から求められた“妖精感”
女優の深田恭子が主演する
フジテレビ系ドラマ『ルパンの娘』(毎週木曜22:00~)。泥棒一家“Lの一族”や、警察一家など、濃すぎるキャラクターが次々に登場する中、異様な存在感を放っているのが、幼なじみの華(深田)に思いを寄せる泥棒・円城寺輝を演じる俳優・ダンサーの
大貫勇輔だ。
華の前に突然現れては、会話がミュージカル調になってしまうという原作にないドラマオリジナルの役柄だが、数々のミュージカルに出演してきた
大貫は、今作にどのような心境で臨んでいるのか。話を聞いてみた――。
○■最初に飛び出すことで得るものがある
――まずは今作への印象から伺わせてください。
台本を読んだだけではどういう風になるのか全く分からなかったんですが、同時に間違いなく面白くなるとも思って本読みには笑いながら参加させていただきました。自分は突然ミュージカル口調になる癖の強いキャラクターのくせに、急に「やべえ話だな」ってつぶやいたり、華に「今は歌うのやめて」って言われて「えっ」ってなったり、ああいうやり取りがいちいち面白いですよね。円城寺はドラマオリジナルのキャラクターなので、監督と手探りで役を作って演じたんですけど、1話を見たら周りの方たちのキャラクターも本当に濃くて、円城寺が意外と溶け込んでいたかなと思いました(笑)
――円城寺も十分濃いと思いますが(笑)。そうすると、これからあの濃さがもっとエスカレートしていくんですね。
そうですね。これから先、華との関係がどんどん密になって、視聴者のみなさんが「華、そっちと恋愛はしないほうがいいよ!」って思われないように、ただの変なやつじゃなく、愛らしさとか共感できる部分とか、人間味をいかに出していけるか、そのバランスを大事にしながら演じていきたいと思います。
――放送の反響はいかがですか?
ファンの方には「
大貫さんの歌と踊りがテレビ画面で見られてうれしい」という声を頂きましたし、ほかの方からは「本当に面白い役だね」「円城寺ってこれからどうなるの?」とすごく言われました。マンスリープレゼンターで『めざましテレビ』に出演したときも、「途中で『やめて』って歌を止められるのが良かった」とか、具体的なシーンを挙げて「面白い」と言っていただけました。
○■リハーサルで細かい角度まで決める
――円城寺のミュージカルシーンは、どのように準備して臨むんですか?
踊りの細かい動きは撮影現場で決めるので、どんな状態でしゃべっても言葉が自然と出るように、ひたすらセリフを入れ込むということが1つ。あとは、ここでターンをしようとか、ここでポーズを決めようとか、歩き方をどうするかとか、動きを何種類か考えて現場に入って、監督と相談して撮るという感じですね。振り付けも自分でやらせてもらっています。
――テンションが上ってアドリブが出たりすることもあるんですか?
リハーサルの中ではありますけど、本番ではないです。ミュージカル部分はとにかく動くので、アドリブをしちゃうとカメラさんがついてこれなかったり、収まりが悪くなってしまうので(笑)。だから、リハーサルで本当に細かく角度まで決めてやっています。
――テレビでミュージカルを披露するのは初めてですか?
そうですね、初めてです。カメラアングルがあるというのは舞台と全然違いますね。
――武内英樹監督からは「妖精のように」と指示があったそうですが、それをどのように消化して演じていらっしゃるんですか?
思わずツッコミを入れたくなるようなメルヘンな感じ、少女漫画から出てきたような感じが監督の思う“妖精感”なのかなと思いながら、そういうニュアンスを大事にしています。
――武内監督と言えば、映画『翔んで
埼玉』が記憶に新しいですが、あの監督がどんな演出をするんだろうという想像はつきましたか?
『翔んで
埼玉』だと、伊勢谷(友介)さんやGACKTさんが、ある意味で円城寺と似たようなキャラクターだと思うんです。見ていてツッコみたくなるような感じ(笑)。そんなイメージを持って台本を読ませていただいたので、少し参考にしてる部分はありますね。
――ゴリゴリのコメディというのも初めてですか?
ここまでのしっかりしたコメディは初めてですね。でも、笑わせようと思って演じるんじゃなくて、他の作品と同じようにただただ俳優として円城寺をしっかり演じていれば、自然とコメディになるんだと、これまでの放送を見て思っています。
○■つらいときは踊って救われてきた
――本職のミュージカル俳優さんとして、今回の作品でミュージカルがコメディ要素となっていることについては、どのように受け止めてらっしゃるんですか?
ある意味で1周回った感覚があります。というのも、僕が最初にドラマをやったときは舞台芝居で「もっと声を小さくして」「姿勢を悪くして」って言われたんですよ。それから何本かドラマをやらせていただく中で、しゃべり方や動作をいかに自然にするかを練習してきたんですね。映像芝居というのはそういうものだと思ってたんですけど、今回の作品はミュージカルシーンということで、「1周回ったな」という感覚なんです(笑)
――そうすると、今まで出演されたドラマよりも、のびのびと演じられている感じですか?
今回も最初は「こんなに激しくやっていいんですか!?」っていう遠慮があったんですけど、だんだんつかめてきて、今では円城寺という人間のあり方みたいなものもだいぶ落とし込めてきたと思います。
――ご自身と役柄との共通点、共感点などはあったりしますか?
打たれ強さとポジティブなところ(笑)。僕自身もポジティブな人間で、つらいときは踊って救われてきたタイプなので、気持ちはちょっぴり分かります。それから、何かふとひらめいたときに歌って踊りだすというところに関しても共通点かもしれないですね(笑)
●本番直前にすね毛を剃る緊急事態
――今作の制作発表会見で、アクロバティックなジャンプや回転を披露されていましたが、今後劇中で見られる場面を期待してもいいですか?
もうぜひぜひぜひ期待してください! 第5話(8月8日放送)は、アクロバティックな動きで泥棒に入るシーンがあります。
――そんな動きで泥棒に入ったらバレちゃうじゃないですか(笑)
よくレーザーのセンサーが張り巡らされて、それに触れると警報が鳴るみたいな場面があるじゃないですか。あれを無駄に動き回りながら避けていくというシーンで、結構アクロバティックしてます。「そんなに動かなくてもいいだろ」みたいなツッコミが入ると思います(笑)
――第1話で短パン姿のときに、さり気なく見せたふくらはぎがすごいなと思いました。
ありがとうございます(笑)。バレエをやってるとふくらはぎが鍛えられるんですよ。ただ、円城寺は妖精なので絶対にすね毛がないだろうと決めてたんですけど、撮影のときに短パンだと気づいて、その場でスタッフさんにカミソリを買いに行ってもらい、急きょ剃るっていう緊急事態がありました(笑)
――今後も、鍛えられたふくらはぎが見られるシーンはありますかね?
できればあってほしいですね。円城寺って結構厚着なので、これから暑い季節になってきますし(笑)
――体操一家のお生まれですが、体操選手の道に進むという考えもあったのですか?
基本的に痛いことが嫌いで、体操以外にも剣道、サッカー、ダンス、水泳と習ってたんですけど、ことごとく痛いものがなくなっていって、残ったのがダンスだったんです。ダンスも痛い部分はいっぱいあるんですけど、最近はむしろ痛みが大好きで…(笑)
――えっ!?
まぁ、そんな話はどうでもいいとして、体操は本当にきついんですよ。子供の頃ってバック転ができればヒーローになれるじゃないですか。それが、小学校2年生のときにできちゃったんで、もういいやと思って、それからは趣味として体操場で遊んでいました。でもこの経験がダンスにも生きているので、今はやっててよかったと思います。
○■隠し撮りしてくる深田恭子
――ご一緒するシーンが多い深田恭子さんの印象はいかがですか?
『セカンド・ラブ』(15年、
テレビ朝日)で一度共演させていただいているんですけど、絡みはなかったので、お芝居を一緒にするのは初めてなんです。今回の現場では、僕のことを変な生き物だと思ってるのか、めちゃくちゃ隠し撮りをされるんですよ。それが上手で僕は全然気づかない。そういういたずらっ子な面を持ちつつ、おっとりされた感じもあって。
――隠し撮り(笑)。どんなショットを撮られるんですか?
休憩中やセッティング待ちの時間とかに、僕が扇風機で涼んでいると、目の前にいる深田さんに撮られていたみたいで、あとで写真が送られてきて、そこで初めて気づくんです。
――至近距離なのに、撮られたことに気づかないんですか?
うまいんですよ! だからきっと、泥棒の素質があるんじゃないかと思います(笑)
――深田さんのミュージカルの素質はいかがですか?
僕、深田さん主演の『100万回生きたねこ』というミュージカルを見させていただいて、それが本当に素晴らしかったんですよ。白い猫がまるで本から出てきたような美しさ、声のきれいさ、歌も素晴らしかったので、実はもっともっとミュージカルを見たいなと思っていたんです。
――今回は“ミュージカル共演”が果たせましたね。
はい! ウワサによると、どうやらミュージカル部分を楽しんでくれているようでうれしいです。
○■生放送は「めちゃくちゃ鍛えられる」
――では、今後の見どころをお願いします。
華、和馬、円城寺の
三角関係をぜひ楽しみにしていただけたらと思うのと、円城寺の歌と踊りの部分にも引き続き注目していただけたらと思います。それから、華の
三雲家と和馬の桜庭家の因縁も本当も面白いので、楽しんでもらえたらと思います。
――ドラマの撮影もありながら、7月は『めざましテレビ』のマンスリープレゼンターも担当されて、大変ですよね。
でも、朝早く起きることで生活に張りが出て、このサイクルは本当にありがたいと思っています。生放送のスタジオの緊張感も好きなので、毎回あっという間に時間が過ぎていきます。できることなら毎週担当したいです(笑)
――生放送は舞台と似ている部分があったりするんですか?
いや、全然違いますね。舞台の場合はリハーサルを重ねて本番ですが、『めざましテレビ』はリハーサルがほぼなく、前室で軽部(真一)さん、鈴木(唯)さん、スタッフの方と打ち合わせして「じゃあいってみましょう」ってすぐに本番なので、本当に瞬発力が必要なんです。舞台の人間からすると、ドラマはすごい瞬発力がいるものだと感じているので、これはめちゃくちゃ鍛えられるなと思いますね。
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大貫勇輔1988年生まれ、
神奈川県出身。主な出演作品は、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』『メリー・ポピンズ』『ビリー・
エリオット~リトル・ダンサー~』『キャバレー』、テレビドラマは『高嶺の花』(
日本テレビ)、『
やすらぎの刻~道』(
テレビ朝日)、『セカンド・ラブ』(同)など。『ルパンの娘』(
フジ)に円城寺輝役でレギュラー出演中。また、『めざましテレビ』(同)でエンタメコーナーの7月マンスリープレゼンターを担当した。